診療案内
多焦点眼内レンズとは
白内障手術時に眼内に入れるレンズは、一般的には単焦点眼内レンズを使用します。白内障手術後は調節機能がなくなるため、焦点(ピント)が合う範囲が1点になります。このため、術後は眼鏡が必要になります。
単焦点眼内レンズの欠点を補うために登場したのが多焦点眼内レンズです。
多焦点眼内レンズは、遠近両用眼鏡やコンタクトと理論的に同じで、遠中や遠近距離に焦点を合わせることできます。 ただ、レンズの構造が複雑なために、単焦点レンズに比べると、暗所で光が散乱し、光周の辺に輪が架かって見える現象(ハロ・グレア現象)やコントラスト感度の低下(見え方の質の微妙な低下)が起きる場合があります。
多焦点眼内レンズの種類
テクニスマルチフォーカル(エイエムオー・ジャパン)
エイエムオー・ジャパン株式会社の回折型多焦点眼内レンズ(通称:テクニスマルチ)。遠くと近くに焦点が合うよう設計されているシングルピースのアクリル製眼内レンズです。国内でよく選ばれている多焦点レンズの一つで、透明レンズため、着色レンズのような暗い所でのコントラスト感度低下が少ないと評価されています。
近く用の加入度数(遠方レンズとの差)+4D、+3.25D、+2.75Dの三種類です。+4Dは近方焦点距離33㎝で読書や編み物など近距離を重視される方に、+3.25D 近方焦点距離42㎝でPC作業や料理など近中距離を重視される方に、+2.75D近方焦点距離50㎝でスポーツや買い物など中距離を重視される方に適しています。
テクニスシンフォニー(エイエムオー・ジャパン)
エイエムオー・ジャパン株式会社の焦点拡張型多焦点眼内レンズで、単焦点レンズと多焦点レンズメリットを融合させた新しいタイプの多焦点レンズです。独自のテクノロジーによって、鮮明な見え方を重視したレンズ設計になっており、低照度下でも優れた視機能を実現し、ハロー・グレア・スターバーストなどの発生を大幅に低減します。また、焦点深度を拡張することで遠方から近方まで中間距離の視力の落ち込みが無い自然な見え方を提供しています。
多焦点眼内レンズ手術の注意点
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手術中の合併症
水晶体嚢が弱っている場合など、状況によって多焦点レンズを挿入できないことがあります。その時は単焦点レンズを挿入することもあります。
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術後屈折のずれ
挿入する眼内レンズの度数は手術前の検査結果をもとに予測して決定します。もともと近眼が強い方や遠視が強い方などは術後屈折値がずれることがあります。とくに多焦点レンズの場合は見え方に影響することがありますので、必要であればタッチアップレーシックや眼内レンズ交換で対応します。
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ハロ・グレア現象、コントラスト感度低下
手術後、ハロ・グレアと呼ばれる暗いところで光がにじんだり、光の周囲がぼんやりと見えたりする症状やコントラスト感度の低下(見え方の質の微妙な低下)がおこることがあります。手術後、徐々に慣れてきて症状がよくなることがありますので様子をみてください。もし、手術後6か月ほどたってもよくならない場合は担当医にご相談ください。
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原因不明の視機能低下
診察上特に問題がなくても、waxy visionと呼ばれるかすむ、ぼやけるといった症状が出ることがごく稀にあります。日にちが経過しても変わらない場合多焦点レンズ不適合として単焦点レンズに交換することで対応します。
お支払いについて
手術当日に選定療養の自己負担の分はクレジットカードでもお支払いいただけます。
価格はレンズの種類によって異なります。詳しくは選定療養、多焦点眼内レンズの価格について詳しく見るをご覧ください。